わんちゃんが食べてしまうと健康被害にあうような食品があることをご存知ですか?
驚くことに、知らずに犬に与えてしまう飼い主の方も少なからずいらっしゃるようです。
時には死に至る危険な食べ物もあります。
死に至らずとも、病気の引き金になったりと注意が必要です。
特に、ドッグフードを手作りしてあげる場合などには、うっかり食べさせてはいけない食材を使ってしまわないように注意が必要です。
犬が食べたら絶対ダメなもの
犬に必要な栄養素は、人間と同じ「水、タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル」の6つです。
人間と異なるのはその量であり、必要とされる「栄養素」は同じです。
ドッグフードを手作りする際はもちろんのこと、販売されているドッグフードでも犬には良くないという報告がある食材が利用されている場合もあります(アボガドなど)。
大切な家族を守るのはあなた自身です。犬が食べたら危険な食品を確実に抑えて守ってあげてください。
玉ねぎ・ネギ・ニラ・らっきょう、ニンニクなどのネギ類
アリルプロピルジスルフィドという成分がヘモグロビンを酸化させ、溶血性貧血を起こすことによって、「玉ねぎ中毒」と呼ばれる中毒を引き起こし、命を落とすことがあります。
タマネギ中毒起因の溶解性貧血を起こすことによって、赤血球内のカリウムが血液中に流出することで、高カリウム血症によって死に至る危険が高まるとの見解があります。
また、ネギ類そのものだけでなく、ネギ類を含んだ食品すべて与えてはいけません。
気をつけないといけないのが、例えば市販の玉ねぎが含まれているタルタルソースだったり、玉ねぎを使ったお味噌汁の汁だけ、といった場合でも中毒になる場合があります。
大切なわんちゃんに手作りドッグフードを与える場合は、犬が食べても大丈夫な野菜とお肉そのものだけで作り、調味料や、人間の食べ残しなどを一切与えないことで予防できます。
万が一、誤って与えてしまった場合は、すぐに吐き出させることが応急処置として有効のようです。
症状としては嘔吐、下痢、粘膜が白くなるなどが見られ、すぐに症状が出るわけでなく、発症までに1~数日かかります。
どくらい食べたら中毒になるか・・・については、個体によって異なりますので、食べたことがわかったらまずは吐き出させる努力をして、かかりつけの獣医師さんに相談してみるといった方法が良さそうです。
我が家のワンコが玉ねぎを食べてしまった時に獣医さんに相談しましたが、様子を見て、おかしなところがあれば来るように言われた程度で、その後、見てわかる症状も出ず、大事には至りませんでした。
チョコレート・ココア・コーヒーなど
チョコレートやココア、これらを含む加工食品に含まれる「テオブロミン」という成分を過剰に摂取することでチョコレート中毒を引き起こします。
また、コーヒーに含まれるカフェインはチョコレート中毒の原因物質であるテオブロミンと良く似た成分です。
わんちゃんは、テオブロミンの分解と排泄に時間がかかるため、人間に比べて中毒になりやすいのです。
とくに、大型犬より、体が小さく許容範囲を超えやすい小型犬が中毒になりやすく、下痢、嘔吐、発熱、興奮などの症状があり、症状は6〜12時間後に出ることが多いようです。
チョコレートや、ココア、それらの加工食品によってテオブロミンの含有量は異なるため、一概にどれくらいがダメというのがわかりにくく、もし大量にチョコレートなどを食べてしまった場合はすぐに獣医師さんに相談しましょう。
アボカド
ネギ類、チョコレート類に関してはご存知の方も多いと思いますが、アボガドを犬に食べさせてはいけないというのは意外ではありませんでしょうか?
アボカドに含まれる「ペルジン」という成分が、中毒症状である嘔吐や下痢などを引き起こします。
人間界ではヘルシーでおいしい食べ物として人気のアボガドですが、犬には食べさせないようにしないといけません。
人間界に人気だからかはわかりませんが、アボガド入りのドッグフードが販売されているのを目にすることがあります。なぜ中毒を起こす危険性のあるアボガドをドッグフードに配合するのか・・とても矛盾があるように感じますが、アボガドの品種によって「ペルジン」の含有量が異なり、ペルジンの含有量が少ないアボガド品種をドッグフードに利用しているようです。
日本で一般的に販売されているアボガドは、グアテマラ種といって、「ペルジン」の含有量がとても多いようです。
人間にとっては体にいいものでも、犬には毒になってしまう場合があります。アボガドを食べる際には犬が誤って食べてしまわないように注意をしましょう。
個人的な意見ですが、アボガドの入ったドッグフードも避けておきたく思います。
ぎんなん(銀杏)
ぎんなんも犬に食べさせてはいけない食品です。体に良さそうですが、ダメです。
ぎんなんに含まれる「メチルビリドキシン」は、嘔吐やけいれん、めまい、呼吸困難などを引き起こす中毒成分です。
人間でも大量にぎんなんを食べたらダメだと聞いたことがあるかと思います。
人間でいうと、だいたい50~60粒の銀杏を食べたら中毒症状を起こすと言われています。
人間に比べて犬は解毒力が低く、また体も小さいため、少量の銀杏でも中毒症状を起こす場合があります。
主な症状は嘔吐やけいれんがあげられ、症状が出るまでには最大12時間ほどかかります。
食べてしまったことがわかったらすぐに吐かせるなどの対応をし、食べてから時間が経過してしまった場合は犬の症状を見ながら獣医さんに相談しましょう。
銀杏並木を散歩すると匂いはともかくとして、風情があってとても気持ちがいいです。犬と散歩に出かけたくなりますが、落ちている銀杏を食べてしまわないとも限りませんので、なるべくなら避けておく方が無難そうです。
キシリトール
虫歯予防などでよく耳にする「キシリトール」ですが、犬が食べてはいけない食品となります。
キシリトールには血糖値を下げる作用があるため、犬が口にしてしまうとキシリトールによって犬の血糖値が急激に低下してしまいます。
低血糖が重症化すると最悪な場合も考えられますので、誤飲等には十分に注意してあげてください。
いたずら盛りの子犬など、もしかしたら置きっぱなしにしていたキシリトール入りガムを食べてしまうかもしれません。
買い置きしていたキシリトール入りの歯磨き粉を食べてしまうかもしれません。
犬がキシリトールを食べてしまうと、中毒症状をおこした際の症状としては、嘔吐、意識の低下、運動失調、けいれんなどが考えられ、食べてしまってから30分程度で症状が出ます。
これまでの食品と同じく、個体によって危険な摂取量は異なります。平気な子もいれば重篤な中毒症状となる子もいることでしょう。
十分に気をつけてあげたいですね。
ぶどう・プルーン・レーズン類
詳しい原因等はわかっていないようですが、レーズンやぶどうを犬が食べたことで、死に至ってしまったという報告があり、ぶどう・プルーン・レーズン類は犬が食べてはいけない食べ物としてよく言われるようになりました。
「日本小動物獣医学会誌」でぶどうを摂取後に急性腎不全を発症して亡くなってしまったマルチーズの男の子の報告があります。
最終的にブドウ中毒と診断されました。
参考:ブドウ摂取後に急性腎不全を発症して死亡した犬の1例(日本小動物獣医学会誌)
パンや、シリアルなどに含まれるレーズンなども誤飲してしまう可能性がありますので、わんちゃんがいるご家庭では食品類は犬が届かない場所に保管するなどして安全を確保してあげてください。
ナッツ類、マカダミアンナッツ
ナッツ類は、ぶどうやレーズンの章と同様、具体的な原因はわかっていないものの、犬に食べさせてはいけない有害なものとされています。
これまでご紹介した食品すべてにおいて言えることですが、中毒を起こす犬もいれば、平気な犬もいます。
絶対に確実に中毒になるかというとそうではないのでしょうが、危険性のあるものは食べさせないであげましょう。
また、人間がやつやおつまみとして食べるナッツやアカダミアンナッツなどには味付けのために塩がまぶしてあります。
塩分の取りすぎもワンちゃんの体にはよくありませんので、そういった意味でも食べさせてはいけないものとして認識しておく方がよいでしょう。
酵母生地
ASPCA(米国動物虐待防止協会)の動物毒コントロールセンターに記載の食べ物として記載されています。
あまりお目にかかることもないかと思いましたが、日本では手作りパンが流行していることもあり、念のため記載しておきます。
酵母生地がふくらみ、ペットの消化器系にガスが蓄積する可能性があります。
痛みを伴うことがあり、胃を膨らませ、命を脅かす緊急事態になる可能性があります。
酵母は副産物としてエタノールを生産し、生のパン生地を摂取することでこのエタノールによって犬は酔ってしまうことがあります。
上記は命に関わる中毒症状の原因となる犬が食べてはいけない食品です。
その他、与えすぎたり長期的に犬が食べることで病気の原因となるようなものについてご紹介します。
与えすぎ厳禁。犬が食べてはいけない病気の原因となる食べ物
煮干し、鰹節、ししゃもなど
鰹節しにはマグネシウム、ミネラル、リンなどが含まれており、下痢をしたり、尿路結石や腎結石の原因となる場合があります。
また、塩分(ナトリウム)が含まれていることで塩分のとりすぎといった心配も出てきます。
もちろん体にいいものであり、カルシウム摂取を目的とした犬用のおやつ煮干しなども販売されています。
総合栄養食に分類されるドッグフードを与えている場合、必要な栄養素はそのドッグフードだけで補給できますので、カルシウム型となってしまい、さらに、カルシウムと結びつきやすいリンなどが含まれていることで結石の原因になることがよく懸念されます。
与える、与えないについては飼い主であるあなたが責任を持って決めてあげるべきですが、人間用のにぼしや鰹節は塩分が強すぎる場合があるので、犬用のものを選んであげると良いかと思います。
人間同様、どんなに体に良いものでも加減次第で注意が必要になってしまいます。
ビタミンA・ビタミンDの過剰摂取
ビタミンAとビタミンBは脂溶性のビタミンで、肝臓に蓄積されて体内で利用されます。
ドッグフードの栄養基準を定めているAAFCO(米国飼料検査官協会)では、ビタミンAとビタミンBを過剰摂取した場合に犬の健康に問題が生じるとして上限値を設けています。
ビタミンA、ビタミンBが含まれる食品や、犬とビタミンAとビタミンBの関係については、下記記事にまとめていますので、ぜひご覧ください。
なお、ドッグフードでは上限値が定められているため、「総合栄養食」として販売されているドッグフードでは基準値が守られているため、とお水のみ給与している場合は過剰摂取となる心配はありません。
手作りドッグフードを与える場合や、総合栄養食に加えておやつをあげる場合、総合栄養食ではない無添加ドッグフードなどの場合は、与えすぎとならないように注意が必要です。
犬が食べてはいけない食品まとめ
上記のように、犬が食べてはいけない食品はたくさんあります。
上記は具体名を挙げていますが、他にもきっとたくさんあることと思います。
手作りドッグフードを作るのであれば、自己流でなく、レシピ本を購入したりして慎重に作ってあげてください。
また、犬が届いてしまうテーブルや収納などに犬にとって危険な食材を置いておかないなど、ほんの少しのことで事故を防ぐことができます。
基本的に「総合栄養食」とされているドッグフードを犬に与えている場合、あとは適切な量の水を与えてさえいれば、わんちゃんの栄養は足りています。
無理に余計な食べ物を与えず、質の良いドッグフードを選択することで、食品に関する心配ごとは大幅に減ります。
食事は体を作り、健康を維持する大切なものです。
愛するワンコにために、ぜひ健康的で安全な食生活をさせてあげてください。