日本で販売されているドッグフードには、どのような法規制があるのでしょうか?
どのような法律で、ドッグフードのどんなことが規制されていて、それが私たち飼い主にとってどんなメリットがあり、ドッグフードの安全性に寄与しているのでしょうか?
ドッグフードと法律
ドッグフードが法律で規制されるようになったのは、本当に最近のことで、2009年6月1日のことです。
具体的な法律は、「愛がん動物用資料の安全性確保に関する法律」で、通称、ペットフード安全法と言います。
ネットや書籍では、わかりやすいように「ペットフード安全法」という表現が使われていることが多いですよね。
2009年施行ということは、この記事を書いている2017年現在からするとたったの8年です。
現在高齢となっているわんちゃんたちの中には、2009年以前に産まれ、法規制が無い状態で幼犬期を過ごしている子もまだまだ元気に過ごしている状態ということですね。
ペットフード安全法ができた背景
ドッグフードが日本に登場したのは、第二次世界大戦後、日本を占領した連合国軍が持ち込んだアメリカ製ドッグフードで、軍用犬や警察犬を中心に使用されていました。
ほんの一部は、一般にも流通していたようです。
本格的な国産のドライドッグフードが発売されたのが1965年のことで、日本におけるドッグフードの歴史は50年程度ととても短いのです。
1965年に国産フードが発売されてから、2009年にペットフード安全法が施行されるまでに44年。
この間、その他の法律との関わりはあったものの、ペットフードそのものに対する法的規制はありませんでした。
40年以上もなかった法律がなぜ突然できたのでしょうか?
2007年に、北米最大のカナダのペットフード製造会社の製品がメラミン汚染により、そのペットフードによる健康被害が発生しました。
この事件は、中国から輸入した小麦グルテン、ライスプロテイン、コーングルテンなどを利用して作られたドッグフードにメラミンが混入していた、いわば食品偽装事件です。
日本では被害はありませんでしたが、アメリカではたくさんの犬や猫がこのドッグフードを食べたことで健康被害にあうという痛ましい事件でした。
この事件で世界的なペットフードのリコールに発展し、最終的に日本国内では被害はなかったものの、一部でリコールの対象となる製品が販売されていました。
この事件が起こった当時、対象となるドッグフードは輸入業者によって回収等の対応がとられたと判断されていましたが、実際には量販店で販売されていることが発覚し、農林水産省から直ちに回収の働きかけを行ったことで大事には至りませんでした。
法律がなかったことで、この回収について、行政側は「お願い」の形をとるしかなく、また、量販店側も「回収」という良心的な判断をしたため、大事には至りませんでしたが、法律で規制がないことから、量販店側が「回収をしない」という判断をしていたとしても、法的になにかしらの強制手段(回収命令など)をとることができなかったわけです。
回収が行われていなかったとしたら、何も知らない消費者が購入し、日本でも健康被害が出ていたかもしれないのです。
この事件では、良心的な対応が取られたことでペット達の健康は守られましたが、そうでなかった場合を考えるととても怖いですね。
法整備がないことで、私たち消費者が、ドッグフードの安全についてなにを頼れば良いのかがわかりません。
法律がなければ、こういった事件が起きても、原因の究明はされず、問題のあるフードの回収などの対応をするかしないかは法的に規制されずすべて業者の判断に委ねられることになります。
そういったことを問題視し、また規制される側であるペットフード業界も、業界によって安全性において自主管理・監督は行われていたものの、法律がないことで度々「日本のペットフードの安全性は野放し状態。危ない。危険なフードだ」などと批判されていたことをうけ、前向きに法制化に協力し、はじめて、ペットフードにおける法律として「ペットフード安全法」が公布、施行されることになりました。
長期にわたり、放置されてきたペットフードに対する法整備が皮肉なことに、たくさんの海外に住む犬や猫達の犠牲を持って実現されることになりました。
なお、この「ペットフード安全法」は、農林水産省と環境省にて共管されています。
ペットフード安全法
まだまだ歴史の短いペットフード安全法ですが、ペットフード安全法ができたことで、消費者の一人として、ドッグフードの安全性についてとても安心できるようになりました。
法律は遵守されなければ意味をなさないことは重々承知していますが、それでも、法的な規制があるのとないのとでは、消費者として得られる安心感は全く異なります。
ペットフード安全法ができたことで、私たち飼い主にとっての安心材料とは何か、を考えてみました。
ペットフード安全法の目的は?
メラミン混入事件が発端となり、ペットフード安全法ができたわけですが、その目的はどのようなものでしょうか?
具体的な法律は下記よりご覧いただけます。
愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(平成二十年六月十八日法律第八十三号)
この法律の目的が第1条として、
「この法律は、愛がん動物用飼料の製造等に関する規制を行うことにより、愛がん動物用飼料の安全性の確保を図り、もって愛がん動物の健康を保護し、動物の愛護に寄与することを目的とする。」
と条文化されています。
この法律でいう、「愛がん動物」とは、犬と猫のことであり、「愛がん動物用飼料」は、犬と猫のペットフードです。
ドッグフードやキャットフードの製造等に関する規制をし、安全性の確保を図り、犬や猫の健康を保護する目的で定められた法律ですね。
また、安全性だけでなく、食品などの生産・流通過程を履歴が明らかにされ、消費者が確認できる状態を確保も目的とされていて、原料や製造、表示に関する基準や規格が設定されています。
ペットフード安全法の対象となるペットフードとは?
この法律の対象となるのは、犬と猫のフードです。
ペットフード安全法の対象となるのはどんな商品でしょうか?
規制の対象となる例
- 総合栄養食(主食タイプ)
- 一般食(おかずタイプ)
- おやつ
- スナック
- ガム
- 生肉
- サプリメント
- ミネラルウォーター
などがあります。
販売を目的としていないものであっても、犬や猫に与えるための食品であればほぼ全てが該当するのがわかると思います。
規制の対象とならない例
- 医薬品
- おもちゃ
- ペットフードの容器
- またたび
- 猫草
- 店内で飲食されるフード
- 調査研究用のフード
店内で飲食される、例えばドッグカフェなどでレストラン的に出してもらうようなフードやおやつは規制の対象となりませんが、そういったお店で購入し、持ち帰るようなフードは規制の対象となります。
ペットフード安全法による消費者観点から見た、ドッグフードの安全に関する規定
ペットフード安全法によって定められているドッグフード(ペットフード)に対する規制で、私たち飼い主が特に気になるのは、「この法律が、どんな風にドッグフードの安全性と関わりがあり、法律ができたことで得られる安全とは何か」という点ではないでしょうか。
ペットフード安全法では、「基準」「規格」と言う言葉が用いられていて少しわかりにくいのですが、「基準」は製造の方法の基準と、表示の基準からなっていて、「規格」は添加物や農薬など、ペットフードに含まれる成分について設定されている含有量の基準値のことを言います。
この「基準」と「規格」によって、ペットフードの安全性の確保が図られています。
いわば、わたしたち消費者が、ペットフード安全法によって普段、犬に与えるドッグフードの安全性がどのように守られようとしているのか、一番理解しなくてはいけない箇所ですね。
それぞれについて見ていきます。
基準:製造の方法の基準
- 有害な物質や病原菌などを含んだ原材料を用いてはならない
- 加熱や乾燥をする製品では、病原菌などが繁殖しないように製造すること
- キャットフードにはプロピレングリコール(保湿のための添加物で、ソフトタイプのフードの食感を保つために用いられることが多い)は用いてはならない。※赤血球に異常をきたす可能性があるため
このような基準が設けられています。
有害な物質や、病原菌が含まれた原材料を用いてはならず、その有害とされる物質、病原菌は、ペットフード安全法で言う所の「規格」である、「成分規格」にて設定されています。
基準:表示の基準
ペットフード安全法では、商品パッケージに以下の5つを表示する義務があります。
- ペットフードの名称
- 原材料名
- 賞味期限
- 事業者の名前・住所
- 原産国名
文字の大きさや、原材料の表示順序など、細かい決まりがあります。
原材料の表示については、使用した原材料(添加物を含む)を全て記載する必要があります。
加工助剤と呼ばれる、ペットフードの加工の際に添加される物でごくわずかなレベルしか残らず、影響もないものについては、表示を省略しても良いことになっています。
加工助剤として表記を省略して良いもの
- ペットフードの製造の過程において除去されるもの
- 当該ペットフードの原材料に起因してそのペットフード中に通常含まれる成分と同じ成分に変えられ、かつ、その成分の量を明らかに増加させるものではないもの
- 当該ペットフード中に含まれる量が少なく、かつ、その成分による影響を当該ペットフードに及ぼさないもの
なお、パッケージへの表示については、ペットフード安全法のほかに、ペットフード公正取引協議会の公正取引委員会に承認されている「ペットフードの表示に関する公正競争規約」の規定もあります。
このあたりは詳しく別記事にてご紹介しています。
規格:成分規格
ペットフードに含まれる添加物(酸化防止剤)や、農薬、汚染物質、その他有害となるものの含有量の基準値が設定されており、必要に応じて施行より見直しが行われています。
2011年(平成23年)には成分規格に汚染物質として9項目が新たに追加され、
2015年(平成27年)には、添加物に亜硝酸ナトリウム、その他の項目にメラミンが新たに追加されました。
法律を作っておしまいではなく、都度必要な見直しがされている点で安心感がありますよね。
法律で定められている成分規格は下記ページにまとめていますので、ぜひご覧ください。
その他、ペットフード安全法で定められているもの(製造業者・輸入業者の届け出)
わたしたち飼い主が、ペットフード安全法ができたことで何がよかったのか、と直接的に判断するのは上記の製造・輸入・販売をする際に、ペットフードの安全性が担保されているかという点で、法律の基本的な部分ですが、ペットフード安全法ではその他にもいろいろ定められています。
製造業者の届け出
基準や規格に違反していることが判明したペットフードは、ペットフード安全法によって、製造の禁止、廃棄・回収の命令ができるようになっています。
このような事態が起こった時に国が速やかに対応できるように、製造業者の届け出が義務付けられています。
届け出が必要な製造業者
日本国内で販売用ペットフードの製造の全部又は一部を行う業者が対象で、国内販売用ではなく輸出する場合であっても対象です。
- 原材料を自ら購入して加工を行い、販売用に包装を行う業者
- 他の業者が製造したペットフードの粒などを単品で、又は混合して、販売用に包装を行う業者
- 他の業者から委託を受けて、製造を行う業者(例:OEM製品の製造受託)
- 人用の食品(煮干、ボーロなど)を容器に入れて、販売用ペットフードとして-製造する業者
- 製造・輸入されたペットフードを小容量製品など他の種類の販売用ペットフードとするための一連の包装作業を行う業者
- 製造・輸入されたペットフードを店舗において開封し、小分けし、包装した上で販売する業者
届け出が不要な製造業者
- 国外でのみ製造する業者
- 原材料の生産のみを行う業者
- 自らは製造を行わず、他の業者に委託して、製造を行わせる業者(例:OEM製品の製造委託)
- ラベル貼付け、容器包装の補修・補強、セット組みなど流通加工のみを行う業者
- ドッグカフェやペットホテルなど、製造(調理)した店舗内等でペットに与えるペットフードのみを製造する業者(持ち帰り用ペットフードを製造している場合は、届出が必要となります。)
- 製造・輸入されたペットフードを店舗において開封し、バラ売りの状態(持ち帰りのための簡易包装を含みます。)で販売する業者
輸入業者の届け出
国内で製造されたものだけでなく、販売されるペットフード全てがペットフード安全法の規制対象となります。
そのため、ドッグフードを輸入する際も届け出が必要になります。
輸入されたペットフードであっても、基準や規格に違反していることが判明したペットフードは、ペットフード安全法によって、廃棄・回収の命令ができるようになっています。
このような事態が起こった場合でも、どこでどのようなペットフードが輸入されているかを国が把握し迅速に対応できるよう届け出が必要です。
届け出が必要な輸入業者
- 日本国内で販売するために、海外の自社工場で製造されたペットフードを輸入する業者(=貨物の輸入者となる業者)
- 海外で製造又は販売されているペットフードをバルクや容器包装に入れられた状態で輸入する業者(当該業者が販売業者であっても、当該貨物の輸入者となる場合を含みます。)
届け出が不要な輸入業者
- 原材料のみを輸入して、国内で製造を行う業者(販売用ペットフードを製造する場合は、別途、製造業者の届出が必要となります。)
- いわゆる海貨業者等で輸入通関業のみを行う業者
- 輸入者の委託を受けて、輸入された販売用ペットフードを取り扱う運送業・倉庫業のみを行う業者
- 販売者の委託を受けて海外で製造又は販売されている販売用ペットフードの輸入を代行する業者(輸入商社など)で、通関に際し貨物の輸入者とならない業者
こうして、届け出の対象となる製造、及び輸入業者を見てみると、国内で販売されているドッグフードはその製造経路もしくは輸入経路がわかるようになっていることがわかると思います。
ドッグフードのパッケージには、販売者・製造元、どちらの表記でも良いため、仮に販売業者名のみが表示されている場合は、わたしたち消費者には製造された場所がわかりませんのでなんとなく不安ですが、見えないところで経路がはっきりしているということですね。
ペットフード安全法では、こういった風に、トレーサビリティと言って、生産・流通過程を消費者が確認できる状態の確保も目的の一つとなっています。
参考URL
農林水産相 ペットフード安全法「1-2 届出や帳簿に関するマニュアル」
その他、ペットフード安全法で定められているもの(帳簿の備えつけ)
上記のように、ペットフードを製造する製造業者、輸入する輸入業者にだけ、届け出の義務があり、販売する業者には届け出の義務がありません。
しかし、ペットフード安全法では、規約や基準に合わないペットフードの販売の禁止と、有害物質が含まれているペットフードの販売の禁止が定められています。
基準や規格に違反していることが判明したペットフードは、ペットフード安全法によって、廃棄又は回収の命令ができるようになっています。
このような事態が起こった時に迅速に対応ができるように、製造・輸入・販売の記録を残しておく必要があり、製造業者・輸入業者・販売業者には、帳簿の備えつけが義務付けられています。
例えば、製造業者から、卸売業者にドッグフードが渡った場合も、卸売業者から販売業者にドッグフードが渡った場合も、販売業者から販売業者(例えばホームセンターなどからほかのスーパーなどに)も、帳簿に記録を残しておく義務があります。
こうすることで、私たち消費者の手に商品が渡ったのちに、ドッグフードに何かしらの問題があることが判明した場合、「どのお店で購入したか」さえわかっておれば、販売業者の記録から、その経路を辿れるようになっており、経路を辿れることで、迅速に調査や製品の回収などが行えるようになっているということですね。
この記録には、当たり前と言えば当たり前ですが、販売業者から私たち個人が購入する、いわゆる「小売」の場合は必要ありません。
(ドッグフードを購入する度に名前を聞かれるだなんて、ちょっと面倒ですもんね^^)
こういった義務から考えると・・・
問題が起こった時に迅速に対応できるということは、万が一、何か起こった時に、その被害を最小限に食い止めることができるということですよね。
ペットフード安全法ができた背景には、メラミンが混入したことで、たくさんの犬や猫に健康被害が起こってしまったことがあると先にも述べた通りですが、こういったことが起こった時に、迅速な対応ができるということです。
こういったことが起こらないようにするための法律であり、起こった後も被害を最小限に食い止められるように考えられているのですね。
ネットオークションやフリマアプリなどで、ドッグフードが出品されていることがありますが、個人間の場合、こういった入手経路の確認が難しくなることが考えられます。
出処がはっきりしないものは購入しないようにしたいですね。
その他、ペットフード安全法で定められているもの(報告微収・立ち入り調査等)
ペットフード安全法では、ペットフードの安全性を確保する観点から、製造業者・輸入業者・販売業者に対して報告を求めたり、定期的に(または必要に応じて)立ち入り検査をすることができます。
報告の徴収
報告の徴収は、ペットフード安全法の施行に必要な範囲で、製造業者・輸入業者・販売業者に報告を求めることができます。
また、上記製造・輸入・販売業者だけでなく、ペットフードの運送をする運送業者、保管をする倉庫業者にも、報告を求めることができます。
立ち入り調査
立ち入り調査は、報告の徴収同様、ペットフード安全法の施行に必要な範囲で製造業者・輸入業者・販売業者、そして、運送業者、倉庫業者、倉庫、船舶、車両、その他、ペットフードの製造・輸入・販売・輸送または保管の業務に関係がある場所への立ち入り調査をすることができます。
立ち入り調査では、ドッグフードそのものや、原材料、業務に関する帳簿、書類やその他のものを検査したり、質問をしたり、該当のペットフードそのもの、もしくは原材料を集取したりします。
立ち入り検査は、無通告で実施され、立ち入り検査の時にペットフード又はその原材料を集取された場合は、その試験結果が独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC)によって公表されることが規定されています。
立ち入り調査は突然行われ、試験された結果は公表される。
もし、仮にドッグフード安全法に違反している業者だった場合、私たち消費者に知らされることになるということです。
ただし、立ち入り検査で収取され、その試験結果が公表されたものを見てみる限り、全ての禁止項目が調査されているわけではなく、試験項目はその都度異なるようで、カビ毒だけの調査、メラミンだけの調査、といったように、一部分のようです。
平成26年6月から、平成29年5月分を見てみましたが、違反は、28年10月の販売業者への立ち入り調査でキャットフードの砒素の含有量の上限値を上回っていたという1件のみでした。
できることなら、全項目調査をしてもらえると飼い主としては希望したいところです。
参考URL
独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC)「ペットフード」
ペットフード安全法に違反した場合の罰則
ペットフード安全法には「罰則がない」となぜかインターネット上では言われていますが、条文をみるとわかるように、違反した場合には罰則が設けられています。
違反内容によってその罰則は異なりますが、私たち飼い主が一番守って欲しい、安全なドッグフードが製造されるための基準や規格について違反した場合の罰則が大きくなっています。
個人の場合は、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金で、これらを併科されることもあります。
法人の場合は懲役刑はありませんが、1億円以下の罰金刑が科せられます。
製造に関するものでなく、例えば届け出について虚偽の届け出をしたなどの違反の場合は30万円以下の罰金、帳簿への虚偽記載や備えつけ事態をしていない場合などの違反は10万円以下の過料と、比較的軽いものとなっています。
基準・規格の違反、廃棄などの命令の違反
1年以下の懲役または100万円以下の罰金
(法人の場合は1億円)
届け出の虚偽記載・不実施、立入検査の拒否など
30万円以下の罰金
帳簿の虚偽記載・不記載など
10万円以下の過料
なお、「罰金」と「過料」の違いは、「罰金」が刑法上の刑罰となり、検察官の起訴手続を踏まえて刑事裁判で課され前科記録に残るもので、「過料」は行政処分として国や自治体が課すもので、制裁に近い意味合いのあるものです。
安全上の重大な問題があったり、違反が明らかな故意によるものだったり、同様の違反を繰り返しているなど悪質な場合は、国から広く注意を喚起するために報道発表が行われます。
ペットフード安全法には罰則がなく、ザル法だ、なんて表現がありますが、決してそうではないことが分かると思います。
ドッグフードと法律(ペットフード安全法)まとめ
ペットフード安全法は、農林水産省と環境省による共管で、日本で販売されている全ての、犬、猫が食べるペットフードは「ペットフード安全法」の規制対象であり、安全性を確保するために、様々な決まりがあります。
原材料そのものの規制ははないものの、添加物、農薬、汚染物質など様々な成分規格が設けられており、研究結果等によりその規格も改定がされています。
10年にも満たない、ほんの数年前にやっとできたペットフード安全法ですが、その存在は、私たち飼い主とわんちゃんにとって本当にありがたいものです。
ペットフードは、このペットフード安全法だけでなく、ペットフード構成取引協議会や、一般社団法人ペットフード協会などの会員規約や規則によって、その安全性や消費者を惑わすような商品表示等が行われないような取り組みが日々行われています。
ペットフード安全法を理解することで、国内で販売されているドッグフードの安全が法律によって守られていることがわかると思います。
法律は守られてこそその目的を果たせるものであり、この法律を守る立場にあるのは、私たち飼い主ではありません。
ドッグフード安全法を守るべき、ドッグフードを製造・販売・輸入する業者さんによって法律が遵守され、私たちの大切な愛犬に素晴らしいフードを届けつづけていただけることを願ってやみません。